COMPLETION

  • Aug 2014

YAC

台東区谷中、言問通りに面した長屋形式9戸のコーポラティブ住宅。計画前そこには大正期の屋敷が建っていた。戦災による延焼を免れたこの地域の資産とも言えそうな母屋に加え、蔵や石畳、祠や石灯籠、古井戸などには、まるで時間が吸着しているかのように感じられ、それは谷中の町に対して自分が抱く質感そのものだった。「谷根千」と呼ばれるこの地域が散策の対象として人気を博す要因も、あるいは谷中に住むことを決めた9組のコーポラティブ参加者の動機も、この町の質感に依るものと考えて間違いない。それを再確認し、茫漠としたそのイメージをより具体的な建築設計に取り込むために、入居者と設計担当者達を対象にした計5回のワークショップを実施した。町の歴史をつかみ、この地域に特徴的な路地を歩きそのスケール感を味わい、地域固有の色や素材を見つけ、それらを際立たせる照明手法などを探った。一連のワークショップを通じて、建築は“自分達のものであると同時に地域に共有されるものでもある”という認識を共有できたように思う。この谷中テラスも、いづれ地域の資産と呼ばれ、町の質感を高めるような建築へ醸成し欲しいと願う。
※前事務所担当物件

住  所:
東京都台東区
用  途:
長屋
規  模:
地下1階地上3階
建築面積:
188.44m²
延床面積:
764.39m²
意匠設計:
aa+ヨコミゾマコト建築設計事務所
構造設計:
ストラクチャード・エンヴァイロンメント
設備設計:
明野設備研究所
照明計画:
レイデザイン
外構計画:
GAヤマザキ
サイン計画:
小幡浩史
施  工:
新発田建設
写真撮影:
坂口裕康
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